最後は絶対大丈夫−神山塾を経験して− | KATALOG
最後は絶対大丈夫−神山塾を経験して−

最後は絶対大丈夫−神山塾を経験して−

馬渕直子
馬渕直子

2023.03.03

みなさん、こんにちは!リレイションインターンの馬渕直子です。

私は昨年の12月26日に神山塾14期を卒塾し、あっという間に2か月が経とうとしています。
現在は、3月31日から開講予定の15期の準備を行っています。

神山塾15期の募集記事はこちら(応募締切3/7)

今回の記事は私自身が神山塾の経験を振り返ると共に、神山塾に申し込まれた方や神山塾に興味のある方への、きっかけのきっかけになることがあればと思い書いています。

トップの写真は、神山塾の教室である改善センターの郷土資料室。写っているのは私の後ろ姿です。

そもそも神山塾って?

2010年12月からスタートした神山塾

これまで全国から集まった、200名以上の卒塾生がいます。徳島県神山町という寛容性と創造性のある、自然豊かで心優しい、面白い里山で過ごすことで「自分を知る時間」を過ごす訓練です。

国の採択を受けている求職者支援制度を活用し、厚生労働省から許可を受けた職業訓練で、株式会社リレイションが訓練実施施設として運営を行っています。

私と神山との出会い

私が神山・神山塾を知るきっかけは本当にたまたま、偶然のことでした。

私は神山塾に来るまで、京都にある大学の学食部門の管理栄養士として、地産地消、健康イベントなどの企画や、大学とのコラボ弁当のレシピ考案などを行う業務をしていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で、所属していた組織の経営状態や自分自身の業務も変化していくなかで色々なことがあり、退職しました。

在職中から、近所にあったカウンターだけのお店によく通っていて、お店の女性オーナーさんに、仕事の内容や退職した経緯などもお話していました。

ある日お店にお邪魔していたら2人のお客さんが来店。
席が満席でオーナーさんが仕方なくお断りしようとされていたので、「私、いつでも来れるので席空けますよ」とお声がけして退店しました。

帰宅するとお店のオーナーから「さっき席を譲ってくれたお客様、馬渕さんが興味ありそうなことされてる方だったよ」と名刺の写真が送られてきました。その方が神山フードハブプロジェクトの方で、次の日京都のイベントに出店されるため、たまたま京都に来られていました。

そこから神山町や神山プロジェクト、そして神山塾について調べていくうちにタイミングよくLearning Journeyの募集があることを知りました。
実際神山がどんな場所か知るために参加したのち、神山塾に応募。
前職を退職する決断まではものすごく時間がかかったのに、たった1ヶ月で神山に来ていました。
お店のオーナーさんに自分の思いを普段から伝えていたこと、人と話をすることで何か発見があるかも、とお店に通っていたことなど、神山を知り実際に来るまで、いろいろなタイミングが合って、神山までの道のりのピースがパチパチとハマっていくような感覚でした。

自然豊かな神山。

神山での生活

塾に参加することで、生活すべてが大きく変化しました。
他府県から参加の場合、一人暮らしをするか、神山で下宿をして塾に通うことになります。
私は「神山のお母さん」として有名人で、長年神山塾を応援してくださっている粟飯原國子さんのお家に下宿させていただくことになりました。
実は國子さんは神山塾の1期生! 大先輩です。

私の下宿生活は夏から始まりました。
塾のない午前中の過ごし方は自由です。
神山の朝は早く、農作業は暑くなるお昼までにひと仕事終わります。
その農作業を手伝ったり、ゆっくり起きたり、散歩したりと、何をしてもよい時間。

國子さんのお家で下宿するとボリューム満点の朝食を提供してもらうことができます。
私は毎朝朝食を持って来てくださる國子さんと挨拶をして、話をしながらご飯を食べていました。
その他愛もない会話は、心がほぐれる、気づきの言葉をもらえる大切な時間でした。

シェアメイトは沖縄から塾に参加したエミちゃん。
年齢は離れていましたが、なぜか初日から気を使わずに話せる感覚でした。

私自身、学生時代に寮生活は体験していましたが、一人暮らしの期間も長く、シェアハウスは正直不安でした。
でも実際は塾から帰ってその日の講義内容で思ったことや感想をお互いに話すことで、アウトプットすることができました。
考えを整理して次の日の講義に向かえたことは、学びの精度を上げることができる、貴重な機会だったと感じています。

ボリューム満点! 國子さん家の朝ご飯。

神山のヒューマンハブ

塾のない午前中は近所を散歩をして神山の人と一人でも多く関わること、國子さんのお家に来られる方とお話することを、意識してやってみることにしました。

そう思ったのは、國子さんのお家で野菜の出荷作業をお手伝いしている時に来られた方が「國子さんの家に下宿させてもらえてラッキーだね、ここは神山のヒューマンハブだから」と話していたことを聞いたのがきっかけ。

ここに居て関わることができる人たちとお話するなかで、まずはこの事実を前向きに捉えて楽しむことから始めようと思えたからでした。

塾に来る前から物事をネガティブに捉えがちな私にとっては大きな気づきでした。(実際は今でもネガティブに捉えがちな癖は残っているけど、何とかポジティブに捉えるように意識しています。が、なかなか難しいです笑)

粟飯原康史さん・國子さんご夫妻、ニコライさん、塾生みんなですだち狩り。

塾外の時間が本当の神山塾だった

塾の講義を受けると、大量の情報がインプットされます。
論理的な説明を聞いて、理解しようとします。

きっと、元々論理的に考えられる人は理解のスピードも早いと思いますが、私のように、感覚で判断することが多い場合、なかなかすぐに理解できません。
人によって理解のペースも、深さもさまざまです。

私は言葉の意味を調べることが好きで、講義中に気になる言葉、例えば「状況判断」と「情況判断」の違いを調べて解釈・理解しやすいように工夫していたりしていました。
自分なりに物事を置き換えて考えることで理解しやすい特徴もあるので、國子さんや、神山の人達の会話の中や、一見授業とはまったく関係ないような農作業の途中で、「あれ? この間の講義内容ってもしかしてこういうことなのかも?」と全く違う発見から、理解のピースがはまっていく感覚がありました。

ペースはそれぞれですが、それで良いと思います。
そもそも良い悪いの感覚も人それぞれで、人によって認識が違うのが当然です。

塾が終了して2ヶ月。
実はこの記事を書いている今、自分自身、塾の学びをリアルに変化させることができず、迷うことが多い毎日です。
塾の学びで広がった「つもり」でいた視野も、リアルの社会や仕事にあてはめると今までの考え方や働き方のままで変換できず、どうにかしないと、と考えた策も今々のことだけを見て、先を考えられなかったり、正直苦しいです。

今後は塾の間に感じた、「どんなに悩んでも、迷っても、自分で決めて納得すれば、どんな結果になっても最後の最後は絶対大丈夫」ということを胸に、少しずつ進んでいこうと思います。

1秒1秒の幸せを重ねて行けば、それが1日、1週間、1年と繋がっていくこと。

自分のご機嫌は自分でとること。塾の間に気づいた、自分自身がワクワク生きることを大事に、進もうと思います。

私が作った地元の郷土料理、丹後ばら寿司。

食べることは生きることです。今まで栄養士として食の観点からサポートをすることを仕事にしてきた私が、今度は生きることのサポートをしたいと思っています。

今も私自身悩むけれど、塾に来る前とは確実に変わった自分が居ます。私のように変わるきっかけが必要な人のサポートをしたいし、その人達が変わっていく変化の過程に関わっていきたいと思います。

神山塾を必要としている人たちが、元気にワクワクできるように、私は「自分のできることでやらないといけないこと」を見つけて、役割を探したいと思っています。

塾の教室の私の席からみた改善センターの様子。

この記事を書いた人

馬渕直子

馬渕直子

京都府のはしっこ、海の京都と言われる京丹後市出身。神山に来るまでは京都市内で栄養士・調理師・管理栄養士として「食」に関わる仕事に携わってきた。神山塾14期に参加するため、2022年8月に徳島に。料理を作ることも、もちろん好きだけど、何より食べることが大好き!旅が好きで行った先の、知らなかった食材を買ってきて調理したり、地元の方に教えてもらいながら郷土食を作ったり、その土地に根ざした「食」「ローカル」「田舎」「暮らし」が自分の中のキーワード。今までは栄養士として食のサポートをしてきたが、これからは「食べること=生きること」と捉え、自分が神山で変化できた「ワクワク生きるため」のサポートをしたいという想いでリレイションへ。

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