新しい人材育成へのチャレンジ | KATALOG
新しい人材育成へのチャレンジ

新しい人材育成へのチャレンジ

西川 萌子
西川 萌子

2021.07.13

東京スタッフの西川です。

今回はリレイション代表の祁答院が人材担当顧問として携わらせていただいている企業・富士スレート株式会社さんとともに新たなチャレンジが始まろうとしているので、それについてお伝えしていきたいと思います。

職人さんを大切にする企業

富士スレート株式会社は徳島県内の企業で、日本を代表する高品質屋根材メーカーです。

ベトナムを中心に海外にも事業展開し、国際交流にも力を入れている企業であることは以前の記事でもお伝えしました。

【過去記事】ベトナムコーヒーを徳島で −富士スレート株式会社が行う国際交流−|KATALOG WEB

富士スレート株式会社・社長の馬渕祐三さん(写真中央)。

約100名のスタッフさんのうち、3割強が職人さん。しかもきちんと社会保険に加入する「社員」として雇用されています。なかには親子2代、3代にわたって富士スレートで働く方もいるそうで、職人さんをとても大切にしている企業です。

3代目社長である馬渕祐三さんは、職人さんたちが仕事の幅を広げ、長く働いていくことができるようにとの思いがあり、従業員育成に取り組んでいらっしゃいます。

それを弊社の祁答院がお手伝いさせていただくなかで、今回、新しい職人育成の計画が持ち上がりました。

原田左官工業所さんとのコラボレーション

祁答院が以前から継続的に地域の工務店さんに向けたまちづくりや人材育成についての勉強会をさせていただいていたことがきっかけでご縁ができた東京・千駄木にある「原田左官工業所」さん。

左官とは、壁や床などを塗る技術のこと。原田左官さんは、Google検索で「左官」と検索すると、なんとWikipediaの次に出てくるほど日本を代表する左官の会社です。

なぜ原田左官さんがそれほどの注目を浴びているのか?

それは、独自の左官職人の育成方法を編み出し、女性や若者など従来は職人の世界に入るハードルが高かった人を積極的に採用・育成し、業界のダイバーシティ化を進めていったこと。

その結果、新しい技法や素材を導入することにつながり、普通の住宅ではなく、アーティスティックなデザインの感性やプレミア感などが求められる店舗の内外装を数多く手がけることになり、業界のなかで特別な存在となっているのです。

その取り組みは本になったり、テレビなど多数のメディアでも取り上げられています。

#97 「新たな挑戦で常識を塗り替える」原田左官工業所 【中小企業の底ヂカラ】4/17 OA 動画

TOKYO MX 2021/4/17 放送中小企業の底ヂカラ「新たな挑戦で常識を塗り替える」原田左官工業所https://s.mxtv.jp/variety/chikara/

原田宗亮著『新たな”プロ”の育て方』(Amazonリンク)

この原田左官さんの人材育成の知恵をお借りし、富士スレートさんと原田左官さんがコラボし、神山塾のノウハウを活用して神山で新しい人材育成プログラムができないか、とただいま計画中なのです。

6月某日、馬渕社長とともに原田左官さんを訪れ、社長の原田宗亮さんとお話させていただく機会がありました。

オフィスは1階がショールームにもなっており、さまざまな素材・技法の床や壁の見本が並ぶ空間です。

「原田さんのパンフレットを見たとき、ただの会社じゃなくてこれはもう『ブランド』だ! と思って衝撃を受けたんです」と言う馬渕社長。

屋根の職人さんは雨が降ると仕事ができず、給料に出来高制が導入されているため、天候により収入が左右されてしまうことがあります。そこで富士スレートでは自社の屋根職人さんたちに左官の技術も身につけてもらい、収入を安定させるとともに、仕事の幅を広げていってもらえたら、と馬渕社長は考えていらっしゃいます。

富士スレートと原田左官は共に会社の創業が1940年代の戦後の復興期であり、現在3代目社長という共通点が。

原田左官工業所・原田宗亮社長。

原田社長「最初はうちの会社も住宅の仕事が主だったのですが、時代の変化とともにコスト削減等のため、左官の技術の需要が減ってしまった。でも、美大など出身の女性の職人を育てることができたことで、新しいアイディアや素材が生まれました。それが住宅よりも店舗の内外装の仕事と相性がよかったんです。そのように人材育成が新しい仕事につながったのは、計画的なことではなく、たまたまという部分もありました」

祁答院が神山塾など人材育成プログラムを行うなかで大事にしている「計画的無計画」。「偶然」「たまたま」がキャリアを作る、という考えですが、こんなところにも共通点が!

ひとしきり会社のことや人材育成についてお話しした後は、ショールームに展示されている壁やタイルなどを見学させていただきました。

同じ建設業を生業とされる方同士、「こんな素材を使うことってできますか?」などなど話が尽きない様子。

展示されている壁やタイルなどはどれも美しくて趣があり、素人の私でも「これを使ったお店や部屋はさぞかしおしゃれで素敵だろうなあ!」とワクワクしてしまうような空間でした。

原田左官工業所さんのインスタグラムではさまざまな施工例が紹介されているので、皆さんもぜひご覧になってみてください!

馬渕社長は「今日このショールームで実物をいろいろ見させてもらって、『作業』や『施工』ではなくて、『作品』だなと感じました!」と感想を語っていらっしゃいました。

変化の時代に、新しい人材育成を

神山では2023年に「神山まるごと高専(仮称)」という新しい学校の創立を予定しています。
これまで地方創生・地域活性の先進地として語られてきた神山ですが、今後は教育や人材育成の先進地にもなっていくのではないかと思います。

新型コロナウィルスの流行により、生活のあり方、仕事のやり方が変化し、誰もがキャリアについてあらためて考え直す転機が訪れています。

そのような時代には、教育・人材育成についても新しい取り組みが必要になることでしょう。

そんな取り組みのひとつとして、今回構想している「神山塾×職人」という、地域の暮らしに関わりながら、職人としての技術も身に着けることができる人材育成プログラムを実現できたらと考えています。

富士スレートさんと原田左官さんとの取り組みはまだ始まったばかりですが、進捗があればまた続報をお知らせしたいと思います。

ご期待ください。

この記事を書いた人

西川 萌子

西川 萌子

東京常駐スタッフ。2018年にキャリアコンサルタント資格を取得し、神山塾生のキャリアコンサルティングも担当。最近、サーカスの曲芸を練習する機会があり、皿回しができるようになりました。次はジャグリングボールにチャレンジしようと目論んでいます。

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