こんにちは、徳島スタッフの齋藤です。
6月上旬、Food Hub Projectが運営する徳島県神山町の「かま屋」「かまパン&ストア」の中庭で、かまパンスタッフの方々が麦の脱穀作業をするという情報が入りました!
私の好奇心がうずうず……。情報が入った次の日、急遽参加させていただきました。
「かま屋」「かまパン&ストア」は、神山を案内する際や、友達と神山へ足を運ぶ際に必ず立ち寄る場所です。そんなスタッフの皆さんと作業した様子と、パン製造責任者の笹川さんにお話していただいた「時代の最先端と一番古いこと」についてお届けしたいと思います。
フードハブ・プロジェクトって?
フードハブ・プロジェクトは「地産地食」を合言葉に、地域で育てて、地域で一緒に食べることで、神山の農業と食文化を次世代につないでいく活動を目的とするプロジェクトであり、神山町の企業でもあります。
そんなフードハブ・プロジェクトが運営するのが神山町にある食堂の「かま屋」とパンや食品を売っているお店「かまパン&ストア」です。この2店舗はは同じ敷地内にあります。
フードハブ・プロジェクトの農業チームは以前から小麦を育てており、かまパンの材料の一部として使われているのですが、昨年から、かまパンスタッフの方々も自分たちで麦の栽培を始めており、この度、昔ながらの農機具を使って脱穀作業へ入るということで、今回はかまパンスタッフの方々と一緒に作業させていただきました。
2つのお店の真ん中あたりに中庭があり、そこで小麦の脱穀をするとのこと。詳細はわからないままですが……とにかく行ってみよう! ということで、急遽リレイションのインターン生も引き連れ、いざ中庭へ!
はじめての脱穀体験
【動画】
中庭に到着すると……パン製造責任者の笹川さんが作業しながら「おお〜いらっしゃーい!やってみる?」と声を掛けてくださいました。
何の作業をしているのか聞くと、この機械は「足踏み脱穀機」だそうで、これを使い、小麦の粒を外す作業をしているところでした。今日はかまパンのスタッフの方々が育てた小麦と大麦を脱穀するそうです。
かまパンスタッフのルカさんからレクチャーを受けました。まずは小麦を束ねて、脱穀機の前へ。足でペダルを踏むと突起がついた部分が回転するので、そこに、麦の穂先を当てることで、脱穀ができます。ペダルを踏むタイミングが最初は難しいのですが、慣れてくると勢い良く回転するようになるので、綺麗に脱穀できます。
脱穀機の周りに飛び散った麦を回収……。
次は粒に混じってしまったクズを取り除く作業に移ります。
唐箕(とうみ)を使って選別作業
【動画】
この機械は唐箕(とうみ)。唐箕に先ほど脱穀したものを上から投入、ハンドルを手で回すことで羽を回転させ、風を起こし、もみ殻などのクズを飛ばし、選別します。
この作業が意外と大変……。ハンドルをずっと回し続けるのは結構疲れます。
「ダメ〜きつい〜」とワーワー言いながらも唐箕での作業は終了。
唐箕で選別したものがこちら!
とっても綺麗……。
小麦がバケツに溜まっていくのがなんとも言えない嬉しさでした。
今回脱穀した小麦はパンの試作用として使うそうです。
お米は粒をそのまま炊くことで食べることができるので想像がしやすいですが、パンもこうした作物からできているのだと思うと、わかっていたはずなのに、これがパンになるのか……と不思議な感覚になりました。
大麦の脱穀作業で悪戦苦闘!
小麦の作業が終わり、次は大麦の脱穀作業に入ります。
小麦と同じ流れで、足踏み脱穀機へ大麦を当てるのですが、茎が折れて飛んでいってしまい、粒だけを脱穀できない……ということで穂先から手作業で粒を取り出すことに。
石や木を使って叩く人、手でほぐす人、袋に入れて踏む人……とそれぞれのやり方で、粒を取り出します。
「その方法どう?」「石で叩くと早いよ!」「踏むのはおすすめしないな……」などと試行錯誤しながらの脱穀。
しばらくすると皆さん声を揃えたように「原始人みたい……」「こうやって文明が発達していくんやな……」と(笑)。手を使ったり、この道具どうかな? と試行錯誤しているのがとても新鮮で、終始笑いながら作業していました。
「やらないと知ったことにならない」
大麦の脱穀作業をしながらパン製造責任者の笹川さんへ質問。
齋藤
「どういった経緯で麦の栽培を始めたのですか? なんで昔ながらの方法で麦の脱穀をしようと思ったんですか?」
笹川さん
「元々、パンに使う小麦の一部をフードハブ・プロジェクトの農業チームが作っていたんだけど、パンチームのメンバーでもやってみようということで、麦の栽培を始めていて。
パンがどうやってできているのか、自分たち(パンチーム)で一連の流れをやりたかったのが一つ。あと、コロナで物流が止まるんじゃないかって思ったのは大きかったかな。仕入れができなくなるんじゃないかって思った。小麦の栽培をする“つくる”っていうことを知らないとまずいなって」
笹川さん
「フードハブは極端なことをするから、時代の最先端のこともするし、一番古いこともするんよね(笑)! やらないと知ったことにならないから昔のやり方もする。
今後、製粉工場を作るんよ。今回こうやって昔ながらのやり方をすることで、機械で作業するときに、この工程か……っていう風にわかると思うんよね。どこで問題があって行き詰まっているのかとかも。そのためにも一連の流れがわかるのは大事だよね。
パンを焼くのもそう。オーブンで焼くのって(機械がやるから)わかっているようでわかってないんだよね。だから土でできた窯「アースオーブン」を作ったり、人類最初の動力『水車』を作ったり……」
齋藤
「これから作っていけたらな〜って感じですか?」
笹川さん
「いや、やるよ!!」
齋藤
「ええ、ほんとですか!そんなに色々と!?」
笹川さん
「(笑)」
自分で動いてやってみること
私はこの半日しか参加していませんが、“つくる”という作業を一緒に体感させていただいた出来事でした。
畑を耕し、一から育て、粉にするまでを経験することは、その後のパン作りへの取り組み方や思考が変わる出来事になるんだろうな……と半日参加しただけなのに、私自身、多くの学びがあったことからすぐに想像がつきました。
現代であればスイッチ一つで終わってしまうかもしれない作業を、こうして体を動かし、体感することで自分の経験や知恵になるんだなとあらためて実感しました。そして何より楽しい!
製粉工場やアースオーブンのお話など、フードハブ・プロジェクトからますます目が離せなくなってしまいました……。
パンへの情熱や素敵な思いを持った、魅力的なスタッフの皆さんが焼くパン、とってもおすすめです。緑が綺麗なこの季節。ぜひ神山まで足を運んでみてくださいね。
【リンク】
フードハブ・プロジェクト
この記事を書いた人
齋藤 千夏
徳島生まれ徳島育ち。社会人2年目の2020年リレイション入社。 アウトドア・音楽・イベント好きなアクティブ派で、食べることをずっと考えています。エスニック料理、特にスパイスチャイが好き。サーフィンを始めたので趣味と言えるくらい上手くなりたい!大切なひとたちや応援したい人たちの力になれる、そんな仕事ができるよう頑張っています。
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