皆さん、こんにちは。
「蔵本BASE」チーフディレクターの前田です。
私事ですが、神山塾7期生として初めて四国・徳島を訪れ、早いもので一年がたちました。
自社施設である「蔵本BASE」をはじめ、さまざまなプロジェクトに携わらせてもらい、
振り返ってみると内容の濃い日々だったように思います。
仕事以外では、前職でシルク地のテキスタイルデザインをしていたこともあり、
徳島の衣文化の一つである「藍」の魅力にこの一年ですっかりとりつかれてしまいました。
ここ最近はいろいろなご縁で藍染めをすることが多く、まるでマニキュアをしたかのような鮮やかな藍色の爪が、名刺交換の際の“話のネタ”になっています(笑)。
その徳島の藍染めの魅力を、今年度の神山塾生にもぜひ感じてもらいたいと思い、
リレイションがいつもお世話になっている「NPO法人 ALIVE LAB」の上田さんに機会をいただいて、
先日「BUAISOU」(※)の本藍染ワークショップに塾生と共に参加してきました。
※ 徳島県上板町のアトリエを拠点に、藍の栽培から染色、
仕上げまですべてを一貫して行う藍染めアーティストグループ。
私の今回のブログでは、前半は私が藍の魅せられたきっかけとBUAISOUさんの紹介を、
後半は本藍染ワークショップの様子を紹介します。
出会いは一枚のバンダナから
このバンダナが、私が藍染めに興味を持ち、徳島の新しい伝統文化の表現に可能性を感じたプロダクト(製品)です。
バンダナの柄をよく見てみると、フンをしている豚に、鍬や柄杓、耕作機器と、何やら不思議な取り合わせです。もう皆さんお気づきかと思いますが、これは藍染めの原料となる蒅(すくも)づくりの一年を描いています。
冬の間に土を作り、 春に種をまき、夏に葉を刈取り乾燥させ、秋から4ヶ月ほどかけて葉を発酵させて蒅にする。太陽の恵みを受け、幾重の過程を経て生まれる藍の“ストーリー”をこのバンダナから感じることができます。
ちなみに私が使っているバンダナは、写真と比べるとやや淡い色。
同じ藍染めでも、甕を潜らせる回数などで「甕覗き(かめのぞき)」「浅葱(あさぎ)」「縹色(はなだいろ)」と、多様な青が表現できるのも藍染めの魅力の1つです。
染め以外でも、「シャトル織機」という旧式の織り機で丁寧に織られた平織り生地に、
ビンテージ特有の1辺耳使い(※)の仕様など、こだわりを随所に感じます。
※「1辺耳使い」とは
バンダナ・ハンカチなど、縁の4辺を補強のために巻き縫いするのが一般的ですが、
シャトル織機などで生地を織る際に端に出る耳(セルビッチ)を、
4辺のうちの1辺として用いる(縫わずに残しておく)ことをこう呼びます。
このバンダナはどんな人たちが、どんな想いで作っているのだろう?
そのような作り手への関心と、青の色味の美しさへの興味。
その後、私は藍染めとBUAISOUの手がけるプロダクトにグイグイと惹きこまれていきました。
本藍染めワークショップの様子
ここからは、先日BUAISOUで行われた本藍染めワークショップの様子を振り返っていきます。
休日(課外)の呼びかけにもかかわらず、多くの神山塾生・ものさす塾生(※)が参加をしてくれました。
※ものさす塾生とは
同じ神山町を拠点に活動する、株式会社モノサスが運営する地域人材育成事業の1つ。
「KATALOG WEB」でも紹介したイベント『あるでないで神山』も一緒に企画するなど、
「神山塾」とは兄弟のような関係です。
ALIVE LABの上田さんの説明の後、さっそくワークショップ開始です!
この日のワークショップでは、ハンカチとお箸を藍で染めました。
まずはハンカチに模様を出す工程。
染液に浸けた時、生地に圧のかかった部分は藍に染まらないため、白く残したい部分を糸などで縛っていきます。
この2人は「絞り」を行っていますが、ほかにも「板締め」「むら染め」などで柄を出していた塾生もいました。
その後、藍甕にハンカチを浸します。
このとき、右端に写っている渋谷さんが、変な格好で固まっていたのですが……。
彼女らしい「板締め」で柄を表現しようとしていたのですね。
その作品は後ほど紹介します!
写真右側の佐野君は絞りを多く行ったため白の面積が多く、藍の色とのコントラストがとても素敵です。
写真左側の前田はあえて絞りを行わず、藍一色。
春先のジャケットに、ポケットチーフとして挿そうかなと思っています(笑)。
塾生たちの作品も、次々と完成!
ちなみに写真右端にあるのが、染めの際にずっと固まっていた渋谷さんの作品です。
藍染めの染液の中で、ずっと手を“パチン”としていたそうで、彼女らしい面白い柄のハンカチに仕上がりました。
なんと、お箸も染めちゃいます!
続いては、お箸を藍染めです!
間伐材を専用の型に入れてカンナで削っていきます。
この間伐材は、我々も日頃からお世話になっている、ゲストハウス「山姥」の管理人・中山さんが提供してくれています。
藍染めは染液に浸しているときではなく、染液が付着した状態で空気に触れることによって酸化して色が付きます。
「BUAISOU」の楮(かじ)さんの指導の元、染液に浸した箸を一定の感覚でくるくると回していきます。
その後、箸を染液から取り出してしばらく空気に触れさせ、“あく”を洗い流し、しばらく乾燥させたら完成です!
徳島の藍文化に触れる貴重な体験ということで、塾生たちも「またやってみたいです!」とワークショップの内容に満足した様子。
この機会をくださった上田さん、BUAISOUの皆さん、本当にありがとうございました!
徳島には今回取り上げたBUAISOUだけではなく、海陽町の「トータス」、
神山町の「染昌」など、魅力的な作品を手がける拠点があり、今後私のブログでも随時取り上げていきます。
このような機会を通し、より多くの人に「藍の魅力」「新しい伝統・文化の表現」、
そして「個々の作り手の想い」を感じてもらい、その地域に関心を持ってもらえると嬉しいですね。
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この記事を書いた人
前田 優
地域マネジメント事業のプランニング・ディレクションを担当。2019年から熊本県南小国町で「地域人材マネジメント×温泉旅館」のプロジェクトにチャレンジ。民藝品や伝統工芸品が好きで、最近のマイブームは酒器。お刺身をアテにお気に入りの酒器で日本酒を呑むのが何よりも幸せ。
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