神山研修レポート(前編) | KATALOG
神山研修レポート(前編)

神山研修レポート(前編)

ゲスト
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2024.10.21

みなさん、はじめまして。

北海道浦幌町役場の富田恭平です!(写真左の人間です)

この度、浦幌町役場の職員研修として、7月21日から26日までの6日間、徳島市・神山町にお邪魔しました。

神山町で見て、聞いて、体験したことを研修レポートという形で掲載させていただきます。

今回の研修は「地方創生先進地地域滞在型研修」ということで、浦幌とそう変わらない人口規模の神山町のまちづくりをその身で体験してくるというものです。

まちづくり政策課という部署にいる私にとってはとてもタイムリーな研修だったのでエントリーさせていただきました。

まず私についてのお話を少々…

私は浦幌町役場に奉職して7年目の29歳で、中学校卒業まで浦幌町で育ち、高校、大学は浦幌を出て22歳で役場に就職し浦幌に戻ってきました。

現在は前述のとおり、まちづくり政策課に配属になり、各種事業企画や総合振興計画の策定等のお仕事をしています。

役場7年目で、仕事も少しは覚えてきましたが、異動して間もないということもあり毎日バタバタと仕事に追われながら生活しています。

祁答院さんとは浦幌に来ていただいた時に知り合い、神山の取り組みや本研修のお話を何度か伺っていました。一週間というボリュームに期待と不安を胸に抱きながら研修に向かいました。

研修初日:徳島での自己分析とオリエンテーション

7月21日に浦幌を出発し、飛行機を乗り継ぎ徳島へ上陸。

暑い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

雪国育ちの私には過酷な気温と、何より「雨降ってるんじゃないの?」って思ってしまうほどの湿度に驚きを隠せませんでした。

(実際研修期間の半分近くは雨天でしたが。(笑))

そんな驚きもつかの間、到着後は蔵本BASEへ移動し、まずはオリエンテーション。

今回の研修のテーマは

①     自分を知る

②     自分の役目を見つける

③     浦幌町のより良い未来を描くために

オリエンテーションでは、セルフイメージ、価値観のトップ5とワースト5、未来の自分を描くといった「自分を知る」ための確認を行いました。

 いままで学校の授業で自己分析みたいなことをやったことはありますが、改めてやってみると、自分を理解して表現し具体的な未来を描くのが難しい!

また、「過去の自分はこんなこと大切に考えてなかったな…」という価値観の変化を感じ、普段の生活では得られない気づきを得ることができました。

初日の夜は徳島市内の飲食店にお邪魔し、そのまま市内のホテルに宿泊。

研修2日目:神山プロジェクトと地域づくりの体験

前日に引き続き蔵本BASEで2日目は神山プロジェクトについてのレクチャーです。

プロジェクトのプロセスを追っていき、それにかかわる色々な取り組みや関係団体のお話を伺いました。

ゴミ拾いからまちづくりが始まったり、サテライトオフィス、ビストロを開業したり、神山にかかわる人たちの行動力や想像力に驚きました。

午前中のレクチャーが終わり、昼食の時間へ…

やまきょうで初めて徳島ラーメンを食べたのですが、これが私のラーメンの価値観を変える味でした!甘しょっぱいスープに生卵、牛肉、細麺。すき焼きのラーメンのような新しい味にびっくりしたのを覚えています。(笑)

徳島ラーメンを食べていざ神山町へ。

神山町入り後の研修一発目は、まちのリビング「鮎喰川コモン」。子育て支援や居場所づくりなどを軸に、誰もが過ごせる場所として神山つなぐ公社が運営する施設とのこと。

昨年まで保健福祉課に在籍し、居場所づくりについて試行錯誤していた自分としては、まさにこういった環境があったらいいなと思っていたものでした。

中に入ると子どもたちが勉強をしたり、読書をしたり、友達とゲームしたり、それぞれやっていることも違えば年代も違うような子供たちがいる。みんな同じことをしているわけではないのにみんな居心地よさそうに過ごしてる。そんな空間が鮎喰川コモンにはありました。

その周辺には町営の木造集合住宅もあり、鮎喰川コモンと集合住宅は町内の木材を使って町内業者が作ったそうです。地域全体がうれしい事業づくりってこんな事業だなと思いました。

鮎喰川コモンを後にし、次に向かったのが大栗山。そこでは神山アートインレジデンスで作成されたアート作品を森を散策しながら作品を見学する。。。はずでした。まさかの雨。雷雨。

「え、まさかこんな雨の中で山歩くとか流石にないっすよね~?(笑)」と野口さんとアイコンタクトを交わしましたが、雨が弱まるとの予報だったので麓で待機することに。数分後、雨が止んだのを確認し山を登り始めると、また雨。やっぱり雷雨。

 登山は諦め車での移動に切り替えて内心ほっとしながらアート作品を見学しました。所々に配置されたアート作品の数々に大栗山のロケーションが合わさりずっと「すごいな…」と言いながら見学していたのを覚えています。

神山町外さらには国外のアーティストが地域と協力して新しい空間、交流の機会、価値観を見出す神山アーティストインレジデンスに終始圧倒されながら見学を終えました。 

下山後は、アムステルダムからの移住者が開業したKAMIYAMABEERを見学し神山のクラフトビールのお話を聞きました。

施設の外観、施設内にもアーティスティックな絵や装飾がたくさんあって神山町とアートの深い関わりに気づいた時間でもありました。ちなみに私が一番好きだったクラフトビールはSHIWASHIWA ALEでした。(研修中は飲んでませんよ。ほんとに。)

浦幌にも地酒がほしいと思いました。地酒ってなんかいいよね。

その後は、昭和4年創業の劇場寄井座を見学しました。まだ娯楽が乏しかった時代に見せ物、映画など、地域の大衆文化の中心地として賑わっていたそうで、今でいう公民館のようなものなのかなと想像していました。

明治や昭和が背景の映画やドラマでこういうの見たことあると感心しながら天井を見上げると当時の企業の広告が張り出されており、広告は当時から使われているものだそう。耳にしたことがある企業の名前もありました。

残念ながら現在は防火等の理由から当時の形態で利用することは難しいそうですが、形として残る神山町の歴史に触れることができとても感動しました。

二日目の研修日程が終了し向かったのは体験型ゲストハウス「moja house(モジャハウス)」です。宿に向かう道中に神山町の町並みを眺めていて、「山の斜面に家が建ってる!」と驚きました。道路も北海道のように碁盤の目状ではなく、例えるならば農道のような狭く入り組んでいる道路でした。

到着するやいなや出迎えてくれたのはなんとアヒルとガチョウ。歓迎してくれているのかわかりませんが、とても元気よく鳴いてました。

そんな自然を視覚や触覚、嗅覚で感じられるモジャハウスにチェックインし、オーナーのモジャさんご協力のもと夕食づくり。食後は神山町役場で働いているという旦那さんと役場の雰囲気や取り組みについて情報交換。他県の職員とお話しする機会はなかったのでいい経験になりました。

寝る前に縁側に座り光がほとんどない真っ暗な風景と虫の声、夜空を眺めて就寝し、その翌朝、眼の前に広がる大自然と朝日を見て、非日常を感じたのを印象深く覚えています。

研修3日目:サテライトオフィスとアートツアー

研修3日目、「moja house」に別れを告げ、向かったのは神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス。 

ここは閉鎖された縫製工場を改修しサテライトオフィスとして利活用している施設だそうで、色々な方が利用しているなんともおしゃれなオフィスでした。コンプレックスでは、神山塾卒業生で、現在講師も務める吉澤さん(通称ハムさん)と㈱ 誉建設の鎌田社長から神山総合戦略、もりまちレジリエンスについてレクチャーを受けました。

浦幌と同じ人口減少、過疎の問題に直面しながら問題をさまざまな人が色々な視点で自分ごととして捉え事業実施していく取り組みは驚くものがありました。それぞれのお話の中では、まちづくり、森づくり、家づくりと色々な事業をそれぞれ展開しているけれど、総じて人材育成や人のつながりを大切にしており、同じルートをたどってはいないけれど、どこかで同じ方向に向かって神山をよりよい町にするという意思が感じられる取り組みばかりでした。

レクチャー後、昼食をはさんで次に向かったのが、神山町の神領にある「神一宮大栗山神社」。地名、名前からして神々ししい神社に参拝しました。参拝客をふるいにかけるような厳しめ勾配の参道に息を上げながら登り、今回の研修と今後の成功を祈願してきました。

下山後は、サテライトオフィスと商店街を見学に行きました。

古民家を改修し利活用しているえんがわ社やモノサス社のサテライトオフィスにお邪魔しましたが、外観は瓦屋根の古民家なのに中身はパソコンや電子機器が並びクーラー完備のかっこいいオフィスに終始圧倒されながらこんな環境で仕事してみたいなと思うばかりでした。

商店街は、神山ワークインレジデンスでパン屋さんやウェブデザイナー等を受け入れており、そのうちの一つ「豆ちよ焙煎所」にお邪魔してコーヒーをいただきました。

商店街巡りを終え次に向かったのは「ホマレノ森研究所山西」です。神山の山間にあるこの施設は、前半にレクチャーを受けたホマレノ森プロジェクトの一環で、誉建設が古民家を改修し農林業や暮らし体験等のさまざまな用途に利用する施設として作られたものだそうです。 

残念ながら見学時は施設内を見ることはできませんでしたが、きれいな外観に周囲には石積みの擁壁、立地が高い所に位置していたため景色が格別でずっと見ていられるような空間でした。

 研修日程が終わり、この日から宿泊するのは、宿泊施設「WEEK神山」です。

この施設は、宿泊棟と築70年の古民家を改装した食堂棟からなり、鮎喰川を望む高台に位置するため、川側の大きな窓から絶景がみられる素敵な宿泊施設でした。

その日は「WEEK神山」が定休日なこともあり夕食をリレイションスタッフの馬淵さんご協力のもと自分たちで作ることに。メニューの中で特に印象に残ったのは、徳島のご当地料理だという「豆天玉」と「フィッシュカツ」。「豆天玉」は金時豆と天かすの入ったお好み焼きで、「フィッシュカツ」は一言でいうと駄菓子屋さんに売っている「ビックカツ」の上位互換です。どちらも初めて食べましたが、なぜかどこか懐かしい感じがする料理でした。

夕食をテーブルに並べ終えたあたりでなんとゲストが登場!なんとたまたま神山町に来たという株式会社えんがわの隅田代表と株式会社プラットワークスの曽山さんと夕食をご一緒することになりました。

隅田さんは「WEEK神山」を経営する ㈱ 神山神領の元代表ということもあり、「WEEK神山」の創業エピソード等を聞くことができました。また、隅田さんと曽山さんは過去に同じ会社に勤めていた先輩後輩だそうで、お二人のお仕事の成功体験や失敗したことについて伺いました。

少しお話を聞いただけでもすごい方だと感じましたが、成功の裏に多くの失敗があったことも語ってくれました。失敗しないことも時には大切だけれども、成功だけでは得られないこともある。まずやってみて失敗して初めてわかることもある。ありきたりな言葉になってしまいますが、それがやっぱり大切なことだと認識させてもらえるリアルなお話を聞くことができました。

後編へ続く…

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神山塾生や、地域のキーパーソン、中学校の生徒さんetc…それぞれの地域や故郷への思いを「KATALOG」に綴ってくれています。

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