お節介に感謝する時代−とある居酒屋のお母さん−

お節介に感謝する時代−とある居酒屋のお母さん−

小松 輝
小松 輝

2017.02.22

こんにちは! インターンの小松です。

先日、卒業論文発表会を終えて、あとは卒業式を残すところとなりました。
この3月に大学を卒業して、リレイションの社員として働くこととなります。
あらためまして、これからもどうぞよろしくお願いします。

さて先日、一風変わったとある居酒屋を見つけました。
徳島市にある、女手一つで切り盛りされているお店です。
(※店舗名は、店主の意向により伏せさせていただきます。)

どう変わっているかというと、実はこのお店がお見合いの場となっているのです。

昔なら、お見合いや結婚相手の紹介などが身近に多くあったのかもしれませんが、
今ではそういうこともあまりないように思います。

現代では、その役割を婚活サービスを行う会社や婚活イベントが担っていますが、
このお店を営む笠松さんは、ボランティアで男性と女性の間を取り持って、
たくさんのカップルを生んできました。

その数は、把握しているだけで30組ぐらい。
報告してくれない人もいるため、それ以上は確実にいるそう。

なかなか今の時代には、こんな人はいないのではないでしょうか。

今回の記事では、このお店で60人以上の人たちの幸せを作ってきた笠岡さんという人を、
ぜひいろんな方に知ってもらいたいと思い、紹介させていただきます。

 

 

お商売にはならんのじょ

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店内には、定期的に開催している合コンの写真が飾られている。
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取材した日は、写真右側のカウンターでインタビューを実施。

笠松さんは、育ちの家が金物屋さんだったため、
小さい頃からお店に立ってお客さんとお話することが日常だったそうです。
それゆえなのか、お話好きで誠実な明るい印象。
僕が1質問すると、10答えてくれるような感じで、いろんな話をしてくれました。

笠松さんがこのお店を始めたのは12年前。
それまで、ラーメン屋さんをフランチャイズで6店舗ほど経営していたのを、
少しづつ畳みながらこの居酒屋一本にしていったそうです。

今のように、お見合いをしたり、お店の中で合コンをするようになったのは、
笠松さんが始めたのではなく、集まってくるお客さんからの提案だったと聞き、
驚きました。

お客さん同士がこのお店を介して、友達を紹介し合うようになり、
「合コンをするから、お母さんがその場を取り持ってくれないか?」
という提案を受けて始まったのが、オープンして3ヶ月たった頃。

きっとお喋りが大好きで親しみやすい笠松さんだからこそ、
そんな話に至ったのでしょう。

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厨房の作業すべてを1人でこなす笠松さん。

このお店でのお見合いスタイルは、笠松さんが持っている情報の中から、
この2人なら合うのでは? と思われる男女を引き合わせるというもの。

結婚請負人さながらの笠松さんに、
会わせる男女の組み合わせ方にコツはあるのか聞いてみました。

「タイミングと、それぞれの職業から考えて価値観が合うか、
あとは事前にどんなんが好みか聞いてあるけん、
それらすべてを頭の中で兼ね合いながら考えてみるんよ。
この人は、結婚に焦っとるなぁと思ったら、
紹介する相手もほういう人を合わせたりしてな」

「たまたま理想の人がおらんかったら、
知り合いの人にいい人がおらんか聞いてみてあげる。
私を信用してくれとるから友達を紹介するんを嫌がらんのよ。
1人でも幸せな人を作るっていうんが根源にある趣旨やな」

「けど、お商売にはならんのじょ。
お見合いするんに、なんべんも電話かけて、
女の子のほうが合わなんだら代わりに私から男性に断りの電話入れたり、
ほんな手間を考えたら赤字やな(笑)」

お見合いを済ませて、付き合うことになっても笠松さんの役目は終わりではありません。

その後のフォローまでするそうで、仲介したカップルの女性から、
なかなかプロポーズをされないという相談を受けると、
相手の男性に結婚する気がないのか確認を入れたり、
プロポーズを早くするように言い聞かせたりすることもあったと言っていました。

正直「よくそこまでできるなぁ」というのが私の感想ですが、
だからこそ30組もの縁を結ぶことができたのでしょう。

 

社会に貢献できると思ったら嬉しいよ

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この中には、お見合い希望者の名前がぎっしり。

お母さんは、男の人にお給料がいくらあるかを絶対に聞くそうです。
それだけ聞くと、あまり聞こえのいい話ではないかもしれませんが……(笑)。
なぜそれが重要なのか聞いてみると、笠松さんの若かりし頃の話をしてくれました。

笠松さんは、結婚して3年目で旦那さんが亡くなられたそうです。

親の反対を押し切って結婚した笠松さんは、
そのプライドから親戚の支援に頼らずに、それ以来、
女手一つで子育てをしながら働いてきたと言っていました。

ラーメン屋をフランチャイズで経営し、朝も夜もなく働いていた笠松さん。

車の中で寝て店の近くの銭湯に通い、
店の裏で洗濯物を干して店に立っていたこともあったと、
当時の苦労を思い出しながら笑って教えてくれました。

そんな苦労をするような生活を、紹介する人たちにはしてもらいたくないため、
きちんと生活できるかどうかを確認させてもらうのが決まりだと教えてくれました。

そんな経験があっての考えだと知ると、それはもう笠松さんにとっては絶対的で、
私も「確かにそうだな」と納得してしまいました。

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「どうして12年間も多くの男女の仲を取り持つようなことをされてきたんですか?」
という、つまらない質問をすると、にこやかな顔をしながら早口で答えてくれました。

「お礼くれるんや(お礼をくれることは)まずない。
私、お見合いさせたカップルに子供ができたら皆にお祝いあげるんじょ。
お返しや(お返しは)ない、ほんまに。
けど、子供ができたら嬉しいでえなぁ。
ほの子(その子)が大きくなって、社会に出て活躍することを考えたら。
子供は、可能性が大だから!
私が貢献したんじょと思える優越感だけでも嬉しい。
子供ができたっていう報告を聞いたら、この子が将来大臣になるかもわからんとか、
個人的な夢が広がる。
未来に少しでも関われたんかなと思ったら嬉しい」

2人の幸せはもちろんのこと、
次の社会を担う子供が生まれてくることにやりがいを見出している笠松さんの話を聞くと、
まさに「地域のお母さん」という言葉が似合うなと思いました。

 

私、お節介なん

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雑然としたところに居心地の良さが感じられるカウンターからの眺め。

「何度会わせても、うまくいかん子は悲しい。
『なんで?』と思うけど、本人にやっぱり問題があるんよな。
親しい人だったら、言うてあげる時もある。
お節介かもわからんけどな(笑)」

友人の身内が夜に入院したと聞いたら、お茶とおにぎりを作って
看病している友人に持って行ってあげたりするぐらい面倒見がいい笠松さん。

自分でもお節介な性格だと思っているそう。

それが裏目に出たことも少なからずあったそうですが、
それでも自分を変えずに、お節介を続けてきたということに自信を持っていました。

まさに、その笠松さんのお節介、
もとい面倒見の良さにたくさんの人が助けられていることを考えると、

少しぐらいお節介と言われるようなほうがいいのかもしれません。

今、身の回りに笠松さんのような人がいるかと聞かれて思い浮かばないのは、
私だけでしょうか?
そういう「お節介焼き」な人が少なくなってきているように感じます。

笠松さんのお店にたくさんの人が集まってくることを考えると、
お節介を求めている人が多くいるのでしょう。

取材終わりにおしゃべりしているときに聞いたのですが、
実はこのお店、笠松さんの体力的な問題で2月に閉められるとのこと。
けれど、婚活の取り組みは頼ってきてくれる人がいるあいだは続けるそうです。

玄関先までお見送りに来てくれた笠松さんが、帰り際に一言。

「今度、誰かいい人おったら紹介してよ」

もちろん、協力させていただきます(笑)!

お忙しいところ取材させていただき、ありがとうございました。

 

《こちらの記事もどうぞ》
同じく徳島市内の魅力的な女性が切り盛りするお好み焼きさんを紹介した記事。
ご近所かたろぐvol.1「お好み焼きにする?ビールにする?それとも…」

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