ぶらっと離島、ひとり旅 − 徳島県阿南市・伊島 − | KATALOG
ぶらっと離島、ひとり旅 − 徳島県阿南市・伊島 −

ぶらっと離島、ひとり旅 − 徳島県阿南市・伊島 −

前田 優
前田 優

2017.02.01

雪解けの水もようやくぬるみ……と言いたいところですが、先週は徳島市も雪でした。
まだまだ寒い日が続きますね。
皆さまお久しぶりです、プランナーの前田です。

今年の年始は実家がある三重には戻らずに徳島で過ごしていたのですが、
新たな年を迎えるにあたって一度気持ちをリセットしたいと思い、
「そうだ、伊島(いしま)に行こう!」という思いつきで、
1月中旬に徳島県阿南市の離島・伊島に行ってきました。

伊島は徳島県阿南市にある四国最東端の離島で、
面積1.58㎢・周囲9.5㎞、人口約180人ほどの小さな島です。

集落地を除く全域が室戸阿南海岸国定公園に指定されており、
「イシマササユリ」をはじめとする希少生物が自生し、全国的にも貴重な野鳥が飛来するなど、
環境汚染にさらされていない手つかずの自然環境が残されています。

なぜ思いつきで伊島なのか?
はじめにその経緯を少しだけご説明します。

私は昨年から、環境省・文科省の管轄事業であるESD(持続可能な開発のための教育)の場を作るプロジェクトを担当しており、現在徳島の老舗製菓会社様・関係団体と共に取り組みを進めています。
その製菓会社様の地域・環境への取り組みをヒアリングする中で、ある食材がキーワードに挙がりました。

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伊島のよもぎ。

それがこの伊島のよもぎです。
自動車が走らない空気の綺麗な環境で育った伊島のよもぎは、
香りが高く、成長しても葉が柔らかいのが特徴とのこと。

この食材を通して、伊島がどんなところなのかずっと気になっていました。

それに加え、離島への個人的な思い入れ(後半に少し書いています)もあったことから、
この機会に小旅行気分で足を運んでみることに。

今回の私のブログでは、伊島での気ままなひとり旅を振り返っていきます。
後半に少しだけ、私の視点で見た離島の魅力を語ります。

 

伊島ツアー、スタート!

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答島港に停泊中の連絡船「みしま」。
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船内(乗客席)の様子。

伊島へは、阿南市津乃峰町・答島(こたえしま)港から出る連絡船「みしま」に乗って渡ります。
「答島港」というぐらいなので、ターミナルのようなものを想像していたのですが、
付近に着いてもそのような場所は見当たらず……。
出航の時間も迫っていたので焦って探していたら、小さな船着場に「みしま」が停っていました。

さっそく船に乗ってみると、ぎゅうぎゅうに詰めても10名ほどがやっと乗れるぐらいのスペース。
船員と乗客との微笑ましい会話の様子を見ても、やはり観光船というより島民の方々の暮らしのための交通手段といった印象です。

連絡船の窓に付いた潮の跡に懐かしさを感じながらぼーっとしていると、
減速をするときの「グーン」というエンジン音が。

出港から約30分ほどで伊島港に到着しました。

伊島の地理も調べぬまま勢いで来たので、とりあえず島民らしき人たちの流れについてついていってみることに。

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天日干しにされた海産物。

伊島港を出るとすぐに島の集落が見えてきます。
そこでまず目に付いたのが天日干しにされた小魚とスルメのような「何か」(笑)。

そばで椅子に腰をかけておしゃべりをしている伊島のお母さんたちに聞いてみました。

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伊島のお母さんたち。

「あれはウツボじゃ。天日干しにして付け焼きにしたり、
細う切って唐揚げにしてごま塩をかけて食べると美味いんじょ!
何なら食うてくか?」

ぜひご馳走になりたかったのですが、戻りの船の最終が14:45発というびっくりするぐらいの便数の少なさで、滞在時間も限られていたため今回は遠慮することに。

会話からは伊島のお母さんたちのあたたかさが伝わってきて、自然と気が和みます。

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タカベを釣る伊島のお父さん。

「ちょっとこの辺りをグルグルしてきますね〜」とお母さんたちを後にし、
次に話かけてみたのが、港のすぐ近くで釣りをしていたお父さん。

「何を釣っているんですか?」と話しかけてみました。

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釣れたばかりのタカベと小アジ。

お父さん「タカベと小アジが釣れとるな。下を見てみ、すぐそこにいっぱいおるじゃろ。」

お父さんに釣りをしている様子をKATALOG WEBに載せてよいかと交渉し、写真を撮っていると、
カメラの枠から逃げ出そうとするお母さん。

私「あかんって、お母さんも一緒じゃなきゃ!」

その流れで談笑していると、突然お父さんがヒット!!

私「お父さん、写真差し替えるんで、そのままね。」

和気藹々とした、心地よい時間。

今さっき伊島に着いたばかりの私を、島の方々が笑顔で迎え入れてくれます。

 

伊島の集落を通り、小中学校へ

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集落の入り口にある案内板。
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集落のすぐ側の船着場。

その後は、集落の中心部を散策。
伊島は漁業が主要産業のようで、中心部には伊島の漁協があり、そこに島唯一の商店が隣接しています。
中心を走る横幅1.5mぐらいの道沿いに数件の旅館があり、その周りを住宅が囲んでいる、本当に小さな集落です。

その中心部を抜けると伊島の小中学校があります。
校庭の花壇に水をあげている先生がいらっしゃったので声をかけてみました。

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伊島小学校の上原先生。

先生に私が伊島にきた経緯を伝えると、島の産業やよもぎのことなど、いろいろと教えていただきました。

「伊島の男性のほとんどは漁師で、女性はその漁のお手伝いをしていますね。
島の近海で漁を行っていて、アワビやサザエ、伊勢海老やトコブシ、
ワカメ、寒天、ヒジキなどが捕れます」

三重県出身の私は、漁業というと海女さんのイメージが強かったのですが、
伊島では女性は漁のサポートに徹し、捕るのは男性の仕事だとのこと。

「よもぎのシーズンは3月から4月、収穫場というのは特になくその辺りにも自生していますよ。
伊島のよもぎは成長しても葉が柔らかいんです。
空気が綺麗なのもあるんですけど、きっと潮風の影響でしょうね。
あと、伊島には犬や猫がいないので、よもぎにおしっこもかかりませんし(笑)」

「伊島の海産物は本当に美味しいですよ!
よもぎを含め、もっと多くの人に伊島の良さを知ってもらい、島の産業を活性化させたい」

先生のお話からは、伊島に対する思いがひしひしと伝わってきました。

 

次回はササユリ咲く季節に

伊島小学校の上原先生に話を伺った後、再び集落に戻り細い路地をうろちょろしていると、
あっという間に帰りの船の時刻が迫ってきました。

堤防付近に生えた季節外れのシナっとしたよもぎを歩きながら観察し、
またウツボが干してある場所に着くと、今度は帽子をかぶったお母さんが椅子に腰をかけていたので、
船が出るまで少しおしゃべりを。

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この日は天候がよく、おしゃべり日和。

「伊島に来てよかったです!」とお母さんに伝えると、
「わしら生まれも育ちも伊島やから、ようわからんけどなぁ……」
と笑っていました。

「5月の下旬になると、ササユリが綺麗なんよ。
こっそり掘り起こして持って帰る人もおるんやけど、植え替えても枯れてしまうで。
きっと伊島の潮風を含んだ土があっとるんやろうなぁ」

イシマササユリの話や、伊島に発電所があった頃の話など、いろいろと聞かせてもらいました。

もうすぐ出航の時間なので、お母さんたちに挨拶をすると、
「ほな兄ちゃん、またおいでな!」と。
次はササユリの咲く季節に、また来たいと思います。

 

私が思う、離島の魅力

皆さん、伊島や離島に少しでも興味を持っていただけたでしょうか?

最後に私の視点から見た離島の魅力を少しご紹介します。

冒頭で「潮の跡に懐かしさを感じながら……」と書きましたが、
私は前職のホテルマンのときに転勤で2年ほど、
沖縄・八重山諸島の1つである小浜島という離島で暮らしていたことがあります。

まずは下の写真をご覧ください。

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伊島港の船着場での光景。

写真は伊島港の船着場の様子です。

私はこの光景を少し離れたところで見ていたのですが、懐かしさを感じてニヤニヤしていたので、
周囲からは不審がられていたかもしれません(笑)。

なぜ懐かしく感じたかというと、この港と似たような光景を、小浜島でも見ていたからです。

私が住んでいた小浜島は規模の大きなリゾートホテルが2つあり、観光客も多く訪れます。
観光客は船を降りると荷物を受け取り、ターミナル出口に向かうのですが、
私たち島の住民は港に着くと、まず船の後方に向かいます。

そこで何をするかというと、船に積まれた荷物を船員・島の住民みんなで協力して降ろすのです。
夏場などホテルの高稼働時には、50名ほどの団体様の荷物を一人で引き受けなければならない場合があるのですが、そんなときも港にいる島の皆さんが助けに来てくれます。

観光客のさほど多くない伊島でも、船員・島の住民が協力し合って荷物を降ろしていました。

持ちつ持たれつ、それが島の習慣なのです。

これは一例にすぎませんが、離島の魅力を一言で表すと「相互依存の社会」が凝縮された文化なのだと思います。

私の神山、ないし「神山塾」での体験はそれを思い出させてくれるものでしたが、
離島での生活がなければ、私は未だにその良さや地域の可能性に気づけていなかったでしょう。

今回の伊島の旅は、新たな発見や気づきもありましたが、
私にとって、とてもあたたかく懐かしい感じがしました。

皆さんもぜひ、伊島に、離島に足を運んでみてください!

参考サイト・「阿波ナビ」伊島

 

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この記事を書いた人

前田 優

前田 優

地域マネジメント事業のプランニング・ディレクションを担当。2019年から熊本県南小国町で「地域人材マネジメント×温泉旅館」のプロジェクトにチャレンジ。民藝品や伝統工芸品が好きで、最近のマイブームは酒器。お刺身をアテにお気に入りの酒器で日本酒を呑むのが何よりも幸せ。

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