神山研修レポート(後編) | KATALOG
神山研修レポート(後編)

神山研修レポート(後編)

ゲスト
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2024.10.22

北海道浦幌町の職員さんが、研修で神山を訪れてくださり、
そのときの学びをレポートとして書いてくださいました!

前編はこちら

神山研修レポート(前編)

研修4日目:フードハブと食文化の次世代への継承

研修4日目は「WEEK神山」にて、NPO法人まちの食農教育の樋口代表から神山の農業を次の世代につなぐ仕組み「フードハブ」についてレクチャーを受けました。「育てる、つくる、食べる、伝える」活動を通して食の「地域内循環」を高め、「地産地食」を軸に、地域で育てて、地域で一緒に食べることで関係性を豊かに農業と食文化を次の世代につないで行くこと取り組みだそうです。

樋口さんはもともと教職員だったそうで、神山の総合戦略の一つに位置付けられるフードハブに興味を持ち食育スタッフとしてプロジェクトに参加したそうです。

浦幌町でも進められている食育ですが、フードハブでは、生産から加工、消費までが循環し、そこに町内の学生、企業、生産者が広く携われるような仕組みづくりが構築されていました。

誰かにやらされるのではなく、携わる人それぞれが想いをもって事業に取り組んでいる気持ちが伝わるレクチャーでした。

レクチャー後はフードハブの「食べる」部門として運営している食堂「かま屋」の週替わりランチをいただきました。料理長さんは東京のフレンチレストランで腕を振るっていた料理人さんだそうで全部おいしい。

昼食後は、研修3日目の講師をしていただいたハムさんのお家で、徳島県で伝統的に作られている後発酵茶「阿波番茶」づくり体験!

体験内容は、茶葉を煮て洗濯板で軽く泡立つまで磨る。アツアツの葉っぱをひたすら磨りました。この作業で茶葉に傷つけ、発行作用を促してから樽に漬け込むことで乳酸菌などの微生物の力で再度発酵させるそうで、お茶の作り方を全く知らなかった私はお話を聞くまで頭が?でいっぱいでした。

作業中に発酵、乾燥を終わらせてできた阿波番茶を初めていただきましたが、渋みが少なく、ほんのり酸味があってすっきり飲めるお茶で、手土産にいただいた製品の「TETECHA」は家族にも評判でした。

番茶づくり作業後には、発酵作業に使う芭蕉等の葉っぱ採取に行き、そこで出会った金泉製材の金泉社長から神山町の木材や間伐の課題についてのお話を伺い、人口減少が与える環境問題は神山も浦幌も共通の課題を抱えていることがわかりました。

研修4日目の工程が終わり「WEEK神山」から徒歩数分の場所にある「めし処 萬や 山びこ」で夕食をいただきました。

 こちらの店長さんは神山町出身で、町外から戻ってきて山びこを開店したそうです。店内は雰囲気が良く、料理もおいしかった(唐揚げが特に気に入りました!)ので、とてもいい時間を過ごせました。

 町外から来る人ばかりではなく、地元出身の方も同様に活躍されていることに神山の魅力を感じた夜でした。

研修5日目:オニヴァ山での森づくりと神山塾の学び

研修5日目、この日は「朝から作業をする」と聞かされたので作業着で出発。

 目的地は「オニヴァ山」という場所だそうで、車で移動することになったのですが、同中の車内で、昨年研修に来た職員が丸一日すごく大変な作業を体験したと伺い、かなり身構えたのを鮮明に覚えています。

 そんな中、車はどんどん山奥へ入っていき、気づけば軽自動車がやっと通れるくらいの細道を進んでいました。いまだ慣れない猛暑での作業と、車の滑落の恐怖に怯えていると目的地に到着。

 そこで迎えてくれたのがオーナーの齊藤郁子さん。

 齊藤さんは、「オニヴァ山」を自らの手で整備しているそうで、チェーンソーと背負子、ウィンチを使って人力で森づくりをしていました。水が通らなくなった水源や日の入らないほど木が密集した森を手入れし、今の姿になったそうです。森づくりの他にも養鶏や稲作も営んでおり、斎藤さんは無人島でも普通に生活できるんじゃないか...と思うほどパワフルな女性でした。

 齊藤さんのもとで行った機械で丸太を割り、薪にして運ぶ作業は肉体的には大変なものでしたが、齊藤さんと「オニヴァ山」のお話であっという間に時間が過ぎていました。

作業後は、斎藤さんが作ったという森のサウナへ。

ジ〇リに出てきそうな空間にサウナが建っていました。

スケジュールの都合で利用することはできませんでしたが、いるだけで心洗われるような神秘的な空間でした。

お昼をはさみ午後からは午後は祁答院さんから「神山塾」についてレクチャーを受けました。

神山塾は2010年にスタートした神山を代表する事業です。

レクチャーを受け、自ら体験した神山を思い返してみると、農業、アート、デザイン、ビジネスなど多岐にわたるジャンルに触れ、関わることができる。また、地域とのつながりを深めつつ小さな成功体験(供体験)を積み重ねながら多くの経験を得ることができる機会が神山には多くあると思いました。そういったところが「神山塾」が長く評価され多種多様な人に選ばれる理由かと感じました。

「神山塾」では、我々も研修開始時から言われている「神山での体験を五感で感じる」ことに重きを置いているそうです。視て、聴いて、触れて、香り、味を感じる。私自身この当たり前の行為を意識し、それに自分がどう感じるかを考えるだけで今までと違った考え方が見えてくるとこの研修で実感しました。

レクチャー後は、「神山原体験・原風景ツアー」ということで神山の各所を見学しに行くことに。祁答院さんの始まりの地「江田の棚田」は、神山に来て間もないころに地域の方と無農薬米を作るために毎日通った思い出の場所だそうで、時には一人で農作業に勤しむこともあったそうです。他にも草刈りやゴミ拾い等の行事に少しずつ顔を出して地域の人に認められるようになったと伺いましたが、そういった積み重ねで築いたコミュニティは私も大切だと思います。

我々公務員の仕事も一人ではできないものばかりです。同僚はもちろん、時には地域の人の協力があって成り立つ仕事も多くあります。そういった場面で少しでも人との繋がりがあれば仕事がスムーズにいくことも多々あり、自分自身が地域の一員として何かする場合にも、どこかで形成した繋がりがより良い方向に運んでくれることもある。「江田の棚田」はそういった意識を再確認させてもらえる風景になりました。

 見学後、5日目の宿は徳島市内のホテルになるため車で移動することに。道中に神山プロジェクト等のレクチャー内で紹介された「神山まるごと高専」の横を通りきれいなキャンパスに驚きました。

また、この学校が神山を応援する多くの民間企業が協賛してできたという事実にも驚きを隠せませんでした。 

5日目の夜は徳島市内で夕食を食べて念願の鯛塩ラーメンを食べることができました。

2日目に食べたすき焼き風味のラーメンとは違い、魚介スープと鯛のうまみが絶妙で今でも味を覚えています。翌日の空港へ行く前にも黄色スープの徳島ラーメンをいただきましたが、どれもおいしかったのでお土産のラーメンを大量に持って帰りました。

研修最終日:神山の振り返りと浦幌で出来ること

とうとう徳島県最終日の6日目、この日は5日間の振り返りとまとめということで、これまで研修で感じたことを思い出しながら、今後にどう活かすかを考える時間。

まず研修で神山に関わる人たちから感じたことは、まず「行動」しないと成功も失敗も起きないということでした。

 研修中に出会った人たちは、必ず何かをやってみて、その成功した経験、失敗した経験をもとに今の事業や生活をしている方たちでした。中には今までの暮らしを180度変えるような「行動」を起こす人もいました。

 それは個人としての「行動」もまちづくりのための「行動」も同じ。行政とか民間とかどっちが主導に動くのではなく、職員含む町民みんなが自分ごととして捉え、自分にできること、やるべきことをそれぞれが実践した結果、良い町ができるのではないかと思います。

 地方創生の先進地として神山町に研修に来ましたが、色々なお話を聞く中で、浦幌町でもできることがたくさんあるし、浦幌にしかできないこともあると感じました。それを実践していくのは自分自身だし、町民一人ひとりだと思います。

 今をただ受け入れるのではなく、少しでもより良い方向へ「行動」してくそんな気持ちが伝わるような言葉や結果を見ることができ、聴くことができました。

 そして、今回の研修で我々に与えられたテーマ

①     自分を知る

 自分の過去の行動や傾向を振り返り、得意、不得意や心理的状態を確認する。その結果を考慮し未来の自分を想像する。

 実は私はこの未来の自分を想像する部分が一番苦手でした。(笑)

 いまだはっきりと未来の自分は見つけられていませんが、今回の研修を通じて未来の自分を想像することはできるようになったと思います。でも今の自分の未来が正解ではなく、今後出会うさまざまな人から色々な刺激や感動を受けて、その時々でより良い未来の自分が描けたらいいのかなと思いました。

②     自分の役目を見つける

研修が始まってから「役割」ではなく「役目」と言われていましたが、広い範囲での組織やグループ内での歯車としての「役割」ではなく、より自分にフォーカスした狭い範囲での具体的な「責任」、「役目」とは何か。

その「役目」を考えるには、まず自分を知り、自分の周りや社会を知る。そのうえでそれらをよくするために自分にできることは何かを考える。自分という小さなピースがどんなことをするべきなのか。したいのか。そう考えると今自分にできることがたくさん見えてくる気がしました。

③     浦幌町のより良い未来を描くため

この研修を経て心に残った言葉の中に、「Social Goodの起点は自分」という言葉があります。Social Goodとは、社会全体に対して利益や価値をもたらす行動、プロジェクト、またはビジネスモデルを言うそうです。そこだけだと自分一人で社会を動かすことかのように見えますが、「同じ世界に二人いれば社会になる」とも学びました。私一人では社会と呼べないけれど、二人いれば社会になるんです。その小さな社会から小さなSocial Goodをやっていく。

浦幌町という大きな社会を良くしていくことは私一人では難しいかもしれませんが、関わる一人ひとりとの小さな社会を良くしていくことで、些細なことかと思いますが浦幌町のより良い未来につながるのではないかと思います。 

最後に、祁答院さんをはじめリレイションの皆さん、研修中に出会った皆さん、本当にお世話になりました!皆さんが浦幌に来られた際は全力で歓迎します!お待ちしております!六日間本当にありがとうございました!

帰りの空での1ショット。飛行機から降りた途端、寒すぎて風邪をひきそうになりました。

それではまたいつか!!

この記事を書いた人

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神山塾生や、地域のキーパーソン、中学校の生徒さんetc…それぞれの地域や故郷への思いを「KATALOG」に綴ってくれています。

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