地元の祭りを支える人がいる町 | KATALOG
地元の祭りを支える人がいる町

地元の祭りを支える人がいる町

小松 輝
小松 輝

2016.09.05

こんにちは。8月より大学は夏休みに入り、この夏休みはリレイションのインターンとして、多くの時間を過ごしているインターンスタッフの小松です。

皆さん、今年の夏はいかがお過ごしになられたでしょうか?
僕はというと、徳島を離れて、北海道十勝郡浦幌町で勤務していました。
期間としては、8月7日から27日までのちょうど3週間ほど。
僕自身、浦幌町に訪れるのは今回で4回目です。
今までの3回は2泊3日程度の短期間だったため、今回の滞在で得られたものは、それまでとは異なるもでした。
今日のブログでは、浦幌町のお祭りに参加して感じたことについて書いていきたいと思います。

みんなが帰ってくる場所

浦幌駅前の道路は歩行者天国に。
浦幌駅前の道路は歩行者天国に。

お盆にはどこの地域でもお祭りがあるように、ここ浦幌町でも商工会が主催となって「ふるさとの夏まつり」という、地元の人に愛されるお祭りが行われています。

僕は商工会青年部(以下青年部)の活動に参加させてもらい、
前日の準備から当日はイベントコーナーや屋台のスタッフとして、お祭りを楽しませてもらいました。

お祭り当日に向けて、青年部の方と食材の仕込みやテントの運搬など、準備にたくさんの時間をかけました。
もちろん、仕事があるので夜に集まってからの作業。
「皆、ただでさえ忙しいのに、どうしてこんなに熱心にされているんだろう」と疑問に思っていました。そんな中で作業しながら話をするうちに、ひとつわかったことは「子供達が、自分の育った町のお祭りで楽しかった思い出を作ってもらいたい」という思いがあることです。
そんな思いが、休日返上で何日も前から時間をかけて準備をする活力に繋がっていることが伝わってきました。

お祭り当日は、晴天に恵まれて、とても気持ちのいい十勝晴れな1日。お祭りに来ていた人たちは、いつもは街中であまり見ることがない家族連れがたくさんいるように思いました。青年部の方に聞いてみると、帰省している人たちも多いらしく、毎年楽しみにしてくれている人もいるんだとか。

枠にボールが止まると景品がもらえるロングパットゴルフゲーム。
枠にボールが止まると景品がもらえるロングパットゴルフゲーム。

会場の雰囲気が盛り上がってきたところで、青年部企画のゴルフゲームが始まりました。
お祭りの最中にゲームイベントを実施するのが恒例だそうで、今年はロングパットゴルフゲームを実施。
「ゴルフクラブでサッカーボールを転がして、決められた枠の中でボールが止まると景品がもらえる」という簡単なゲーム。

無料で参加できる上に景品がなくなるまでは何度でも挑戦できる、という大判振る舞い!
子供達がボールを打つたびに「止まれ、止まれ!」と叫ぶ声と、子どもたちを見守るお母さんからはヤジが飛んでくる光景は、なんとも和やかな雰囲気で微笑ましく思えたことが忘れられません。
スタッフはというと、少し大げさ気味にリアクションをとっては会場を盛り上げて、「おめでとう」や「ありがとう」「惜しかったね〜」なんて言葉で子供達と触れ合いながら充実した時間を過ごしました。

 

お祭りは子供たちのために

屋台で焼き鳥を焼いている様子。青年部の中山さん(左)と小松(右)。
屋台で焼き鳥を焼いている様子。青年部の中山さん(左)と小松(右)。

屋台のないお祭りはお祭りじゃない! と思いませんか?

実はこの夏まつりでは、少しずつ屋台を出す人が減ってきています。
その穴を埋めるように青年部の方たちは、昔ながらの「ヨーヨーすくい」や「型抜き」、「的屋」といった子供が喜ぶお店を出したり、焼き鳥やハンバーガーの飲食ブースを設置して販売するようになったそうです。
地元で商売されている人が出している物と被るような物は売らず、今まで出していた人が出店をやめてしまった売り物や「お祭りにこれがあったらいいよね」というような物を売るようにしているんだそうです。

実際のところ出店しても利益はほとんどなく、ボランティアと言ってもおかしくないほどです。
けれど、屋台がなくなってしまうとお祭りが寂しくなってしまう。だったら利益なんて関係なく、自分たちがやろう! そんな気概で続けられていて、小さな町のお祭りを盛り上げるためには、こういう人たちの存在があって成り立っているということに気づくことができました。

夏まつりのフィナーレは、名物「仮装盆踊り」。
夏まつりのフィナーレは、名物「仮装盆踊り」。

 

この町を残すためにできることを

徳島へ帰る前日の夜に行われたBBQ。青年部のみなさんに囲まれる小松(中央)。
徳島へ帰る前日の夜に行われたBBQ。青年部のみなさんに囲まれる小松(中央)。

お祭りの準備から当日の手伝い、最後の片付けまでを一緒にできたことで、
青年部の方たちとの距離が縮まり、とても仲良くさせてもらえました。
こうした活動を続けてこられた青年部の方たちの絆は、本当に強く結ばれていて、仲の良さといったら羨ましくも思えるほど。

夏まつりの打ち上げの時に皆さんの話を聞いていると、
一度は東京や関東圏に働きに出ていた人たちばかりだということがわかりました。
帰ってきた当時、東京での仕事のやり方や、
若かった自分の新しい発想はなかなか受け入れられず、相当な苦労や息苦しさを覚えたそうです。

そんな経験から、「この町を受け継ぐ若者には、自由にやりたいことをやれるような場を作っていきたい」と、静かにゆっくりとした口調で熱く語ってくれました。
今がよければそれでいいではなく、次の世代にこの町を受け継いでもらえるように、
そんな思いを青年部の方たちは共有されていました。
きっとそれは、浦幌町で育ち、町の外へ働きに出て、また戻ってきたという決断と覚悟をそれぞれが経験しているからなんだと思います。

北海道十勝郡浦幌町は人口5026人。大自然の土地に農林水産の一次産業が全てある町。そこには、頑張る若者を応援してくれる大人たちがいました。広大な大地と雄大な自然もあるけれど、若者のチャレンジを待ち望んでいる大人たちがいること、それが浦幌町の良さだと思います。

この記事を書いた人

小松 輝

小松 輝

1994年生まれ、徳島県出身。浦幌町担当スタッフ兼、KATALOG編集長。大学2年生の冬にRELATIONと出会い、大学卒業とともに浦幌町へ。総合旅行業務取扱管理者の資格を活かして、2019年春から旅行業をスタートさせます。いじられるのが好きで笑い上戸。何かとよく笑います。

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