あるものでやってみる。〜古民家改修で得た気づき〜 | KATALOG
あるものでやってみる。〜古民家改修で得た気づき〜

あるものでやってみる。〜古民家改修で得た気づき〜

ゲスト
ゲスト

2017.10.25

こんにちは。
神山塾KATALOGコース 2期生の雨森 良地です。

入塾してから3ヶ月が過ぎ、徳島県神山町という地域の中に入って、
いろいろな経験からの気づきを得る日々をおくっています。


そんな中、日頃からお世話になっている神山町阿川地区にある古民家ゲストハウス「山姥」のオーナーでもある中山さん夫妻が、あらたに同じ地区にある古民家を改修して、
さまざまな人が集い、共にモノを作ったり、語り合ったり、くつろいだりする場を作られると聞き、
塾生のみんなでお手伝いに行ってきました。

中山さん夫妻は、衣食住なんでもご自身たちで作る、
私にとって尊敬の念を抱かずにはいられないスペシャリストです。

住居においては古民家の改修を含め、これまで10桁を超える家を作ってこられたとのこと。
自分で古民家を改修して住んでみたいという憧れは多少抱いてはいたのですが、
思っていた以上に体力と緻密な計算が必要で、
心身共にフル回転をしないとできないと痛感しました。


自分ごととして捉える

改修する古民家は2階建てで、かなり年季が入った古い木造の家。
改修前に訪れた時には、前に住んでいた方の生活用品などが置きっぱなしの状態でしたが、
掃除や整理をすれば、改修をしなくても住めなくはない状態だなぁ、と個人的に思いました。

しかし、中山さん夫妻からたびたび出たのは、こんな言葉。
「これもあれも、センス悪いじゃん」
センスが悪いと思う部分を改修していくということで、1階はほぼ全面改装に。

それを聞いて私は、
「あぁ、そうか。
住まいのことも、自分ごととして捉えるって考えもしなかった」
と思いました。
すでにあるものを「自分ならこうする」という観点が、
自分の中にスッと入ってきた感じがしました。


そして後日、改修工事に取りかかりました。

解体後。のちにキッチンとなるスペース。
のちにキッチンとなるスペースを解体した後の様子。
床を剥がす。シロアリに食べられてしまった木がたくさんあった。コンクリートを流し通路にする予定。
床を剥がす。シロアリに食べられてしまった木がたくさんあった。コンクリートを流し通路にする予定。
玄関を入ってすぐの所にあった大きな穴。芋釜(いもがま)というらしい。昔(50~60年前)の家にはどこにでもあり、その名の通り、芋を保存するために床下などを掘り込み保存していたそう。
玄関を入ってすぐの所にあった大きな穴。芋釜(いもがま)というらしい。昔(50~60年前)の家にはどこにでもあり、その名の通り、芋を保存するために床下などを掘り込み保存していたそう。
生活用水に使っていた、4mを超える深さの井戸。泥水を透き通った水にしていく。 どこか異次元に繋がっていそうで、脳内であの映画の曲が流れる...…怖い。
生活用水に使っていた、4mを超える深さの井戸。泥水を透き通った水にしていく。
どこか異次元に繋がっていそうで、脳内であの映画の曲が流れる……怖い。
トイレの入口を変えるため、コンクリートを壊す。この作業が、とにかく気力と体力がいった。
トイレの入口を変えるため、コンクリートを壊す。この作業が、とにかく気力と体力がいった。
まず、コンクリートの壁を覆っていた木を剥がす。
まず、コンクリートの壁を覆っていた木を剥がす。
次に、バールやハツリハンマーという道具を使って少しずつコンクリートを削っていく。
次に、バールやハツリハンマーという道具を使って少しずつコンクリートを削っていく。
そして、やっと少し空いた穴に向かって内角を狙い、えぐりこむように打つべし!
そして、やっと少し空いた穴に向かって内角を狙い、えぐりこむように打つべし!

 

 

あるもので、なんでもする

「あんた、なにやってんのよ!
こういう時はねぇ、あるもので、なんでもするのよ」


作業中、中山さん夫妻に何回かお叱りを受けましたが、
特にこの言葉にはハッとさせられました。


“あるもので、なんでもする”

今あるものを使って、あらたなものを作りあげる。

そういえば、徳島へ来る前に暮らしていた大阪のマンションのゴミ捨て場に、
まだ使えるであろう家電や家具が大量に捨てられているのをたびたび目にしていて、
何かほかに使いみちがないのかなと考えていたことを思い出しました。
「ありあわせ」で可能になるできごとを用いて、全体を作る。
中山さん夫妻は、そんなことはとくに意識をしていない(はず)ところに、また打ちのめされる。

神山町という地域の方との出会いの中での経験で、
とても大きな気づきを得た日となりました。

神山町内、棚田が広がる風景。
神山町内、棚田が広がる風景。

移り住む前は、人と関係を持つことが少し億劫になっていた私ですが、
地域の方々との出会いからかかわりを持つなかで、
今までの自分にはなかった目線が増え、気持ちに変化が生まれています。

あらたな発見や発想が生まれ、面白いものが出来上がる可能性の拡がりを
今回の改修工事で感じました。


とりあえず、古民家内の改修工事の完成は10月下旬予定。
今後は庭にデッキを作ったり、倉庫も改修をして宿泊スペースにしていくそうです。

ひきつづき、お手伝いに伺います。

この記事を書いた人

ゲスト

ゲスト

神山塾生や、地域のキーパーソン、中学校の生徒さんetc…それぞれの地域や故郷への思いを「KATALOG」に綴ってくれています。

この人の書いた記事を見る

関連記事

ラーニングジャーニー