こんにちは、神山塾カタログコース2期生の左治木悠子です。
入塾してから早くも3ヶ月が経ちました。
日めくりカレンダーなら90枚分ですが、
感覚的には210枚分めくった位に濃厚な日々を経験させていただいています。
さて、塾生となってから自己紹介をする機会が増えました。
神山塾をご存知の方からは、KATALOGコースとの違いについて質問を受けることが多いのですが、
拠点の違いから説明すると「蔵本って?」とさらに質問を頂きます。
・神山塾 → 「神山町」拠点
・神山塾 KATALOGコース → 「徳島市(蔵本BASE)」拠点
ツッコまれるとすぐたじろぐ私は
「と、徳島大学病院がある町です」
と焦り気味に回答します。
本当は「他にも寺社仏閣や旧街道、醸造場などたくさん見所ある町なのですよ!」
と伝えたいのですが、
個人的趣向から言うのもどうかと脳内問答した結果、話さずじまいです。
以前アップした記事の自己紹介でも書いていますが、
街並みを見たり歴史や文化を知ることが好きなので、
たまに蔵本周辺(佐古も)を探検しています。
2017年度「神山塾 KATALOGコース」始まりました!- KATALOG WEB
くらもとの、くらしの水、蔵清水
蔵本で水というと、象徴的なのはこの場所でしょうか。
JR蔵本駅を降りると、コインパーキングの車がひしめく中に石造のモニュメントがあります。
近づいてみると、『蔵清水』と彫られたもう1つの石彫から水が流れ出ています。
これ湧き水なんです。
作られたのは今から約20年前。
戦前にこの広場にあった十数軒の民家では
日常的に使っていた井戸水が各戸にあったようで、
そんな暮らしの水の復活を願って「蔵清水(くらしみず)」を設置されたそうです。
写真をパシャパシャと撮っていると
ペットボトルを携えたお父さんから声をかけられました。
お「なに、興味あるんか?」
私「駅前に湧き水があるなんて珍しいなーと思いまして。
よく水汲みにいらっしゃるんですか?」
お「しょっちゅう来てるよ。
地下30m位からくみ上げている水だからね、おいしいよ。
いつもここで水を汲んでから、
そこのハヤシさんとこでコーヒーを飲んで帰るの。」
ハヤシさんの所とは、「Town cafe 林」です。
蔵本周辺では老舗の喫茶店で、
蔵清水の地下水を利用した珈琲(※1)も淹れられています。
私も何度か頂いたことがあるですが、まろやかな味で、
濃い苦味が苦手な私もおいしく珈琲の時間を楽しませてもらっています。
(※1 自治体が定期的に水質検査をされていますが、地下水なので煮沸してから利用されています。)
話は戻りまして、蔵清水ですが、
私が見ている間だけでもひっきりなしに人が訪れます。
人が映らない状態で写真を撮りたいなぁと近くのベンチに座って待っていたのですが、
……ついに待ちきれず、一度退散しました(笑)。
話によると1日に100人以上は訪れるとか。
「くらしみず」という名前に込められた思いの通り、
身近な存在の水になっていたことが印象的でした。
さて、水に関する場所というと史跡では袋井用水などもありますが、
「おいしい水がある場所には、日本酒がある!」という連想で、
本当に近くに造り酒屋さんがありましたのでご紹介します。
蔵本駅から歩いて10分程の佐古町にある『(有)斎藤酒造場』です。
おいしい水には、おいしい醸しもんがある
戦前と思われる建物が残る斎藤酒造場さん。
でも、徳島市内は戦時中に空爆で焼け野原になったような?
話を伺うと、空爆範囲は斎藤酒造場さんの200m程手前までだったようで、
戦前の建物の面影を今でも垣間見ることができます。
こちらでは水について詳しく教えていただきました。
水源は鮎喰川の伏流水(※2)だそうです。
鮎喰川というと、私たち神山塾生がお世話になっている神山町から吉野川へ流れている河川です。
青石によるエメラルドグリーンがとても美しい川で、皆で水遊びもしましたね〜。
※2 伏流水(ふくりゅうすい):河川の底の砂礫(されき)層を流れている地下水。
元々、鮎喰川は眉山の麓を流れて今の佐古川などに流入していたそうですが、
度々洪水を起こしたため、徳島城下町建設の際に吉野川に流れ込むように流路を改められました。
今から約430年前のお話です。
当時の名残か現在でも鮎喰川の伏流水が脈々と流れているのですね。
(間違っていたらご指摘ください!)
川は最後には1つに繋がるものですが、
神山町で目にする鮎喰川が地下の見えない場所を流れてここにも通じていると思うと、
また観方が変わります。
佐古町は伏流水のおかげで酒・味噌・醤油などの醸造業が多い町だったそうですが、
前述の戦火や時代の変化によって、今では片手で数えられるまでに。
その内の1つが斎藤酒造場さんで教えていただいた、お酢の『(資)山屋商店』です。
ゆっくりと、じっくり向き合った先にできるもの
山屋商店さんはお酢を作る際に昔ながらの静置発酵法を採用されています(※3)。
徳島県内ではここ1軒のみ。
発酵までに2ヶ月程ゆっくりと時間をかけることで、味や香りに深みが出るそうです。
場内には懐かしいような静かな時間が流れていました。
通りを挟めば国道が走っているのですが、そんなことも忘れてしまうほどでした。
その空間ごとの時間の流れというか、感じ方ってあるのかもしれません。
※3 静置発酵法:静置発酵法は自然な空気対流でコクのある酢が、
空気を機械循環させる通気発酵法では淡白な味の酢ができます。
目にみえないものを見ようとしてる?
蔵本駅前に散策マップがあります。
今回、蔵本・佐古周辺のことを書くにあたって、
「史跡巡りました」ではマップの二番煎じなるなと思いまして。
そこで普段、神山町で見ている鮎喰川が、
目に見えない「地下水」となり、
また地上で湧き水や酒・酢・珈琲と見える形に変わっていることを書いてみました。
が、訪れたお店の方と話した中で、
「ブログを書くなら、五感を使って、
蔵清水のように目にすぐ見えるものじゃなくて、
目に見えないものをみるんだよ。
それはパッとみてわかるもんじゃない、
じっくりと向き合わないと感じ取れないからね。」
との言葉をいただきました。
……ご指摘通り、結局パッと見てわかるものをまとめた形になっているじゃないか。
酒屋さんとお酢屋さんの醸しに興奮して、
蔵本のカモシ出しているものに盲目になってました。
ということで、蔵本周辺の探索はまだ続けますが、
仏の白毫ができる位に見ていきたいと思います。
余・談
斎藤酒造場さんで地理や歴史の面白い話を伺っていると、
ふと棚の一部に気になる色紙が。
私「お父さんすみません、あの色紙、『酒場放浪記』の吉田類ですか?」
お「あぁ、吉田さんのだよ。四国4局のラジオで吉田さんの番組(※4)があってそのご縁でね。」
私「……!!」
いや、ミーハー丸出しで本当にすみませんでした。
この場を借りてお詫び申し上げます。
最終的にどぶろくの小瓶を片手に帰りました。
徳島のフィッシュカツと合うそうです。
お試しあれ。
※4:四国4局ネットラジオ番組(徳島だとFM徳島)「吉田類の類語録」
【今回訪れた場所一覧】
今回訪れた場所を、マップにまとめてみました。
みなさまお話いただきまして誠にありがとうございました。
・蔵清水 :徳島県徳島市蔵本町2丁目
・Town cafe 林 :徳島県徳島市蔵本町2丁目25-1
・(資)山屋商店 :徳島県徳島市佐古三番町3-11
・(有)斎藤酒造場 :徳島県徳島市佐古七番町7-1
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