皆さん、こんにちは。上田です。
急に寒くなってしまった今日この頃、皆さんはどんな秋をお過ごしでしょうか。
食欲の秋? スポーツの秋? 読書の秋?
私は全部好きですが、今回は「アートの秋」をお届けしたいと思います!
11月1日、神山塾と神山塾KATALOGコース合同で、神山アーティスト・イン・レジデンスを巡るプチツアーを行いました。
神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)とは、神山町に国内外のアーティストを招聘し、滞在期間中に作品を制作してもらうという活動です。
今年の作家さんは、ドイツ、オランダ、アメリカから集まりました。
どんな作品が見られるのか楽しみです!
(※2016年度の神山アーティスト・イン・レジデンスは11月3日で終了しています。)
まずはアーティストのアトリエへ

ここでは、アメリカ・ロサンゼルス在住の建築家・アーティストのジニーン・シノダさんと、オランダ人作家マライン・ファン・クレイさんの作品を鑑賞しました。
ジニーンさんの作品は、格子状の天井から紐で食器をつるし、その紐を鑑賞者が切る、
という参加型の作品です。
紐を切ったら割れるだろうことを意識しながら、はさみを構える方もドキドキ、見守る方もドキドキ……。
案の定、けたたましい音を立てながらお皿やお椀が割れました。
しかし、割れないものもあり、ほっとしたような、がっかりしたような不思議な気分になりました(笑)。
会場に偶然作者ご本人がいらしたので、拙い英語で「インパクトを受けた」というと、
「Me too!」と仰っており、ジニーンさん自身も、この物が割れる音には衝撃を受けるようでした。
別室では、マラインさんの絵画が展示されていました。
個人的な意見ですが、私は絵画を遠くから見たり近くで見たりして、
その見え方や感じ方の違いを楽しみます。
マラインさんの作品は(写真左)離れてみると同じものの連続のようで、
近くで見るとその一つ一つが若干異なり、似て非なる物の集合体のような印象を受けました。
しかし、全体は絵画というスクエア型の枠にはめ込まれています。
枠からの広がりを想像したり、そもそもフレームに収まった状態なのか……と
あらゆる可能性に心巡らせながら鑑賞するのが、現代アートの醍醐味だと思います。
続いて、下分小学校へ
ここではドイツ在住のアーティスト、清水麻紀さんの作品と、
過去の神山アーティスト・イン・レジデンスの作品を一部鑑賞しました。
清水さんの作品は、「神山かるた」。
神山町の方々から応募した句(読み札)をもとに、木版画で一枚一枚丁寧に刷られたかるたです。
さっそく、塾生たちが集まって、かるた大会が開催されました!

アートを鑑賞するだけでなく、日本の伝統的な「遊び」を通した、
アーティストと鑑賞者、そして鑑賞者同士のコミュニケーションが生まれる、
そんな作品だと思います。
ほかに校内に展示されていた過去作品も満喫し、今年の作品展示最後の場所へ。
最後に、製茶工場跡地へ
神山各所に点在する現代アートを巡るツアーも、残すところ一か所。
最後に訪れたのは、製茶工場の跡地です。
ここでも、ジニーンさんのインスタレーションを鑑賞しました。
日本人に親しみのあるレトロな雑貨、生活用品がモビールとなって飾られています。
不規則にさまざまなものが吊るされているのに、すべてが計算つくされたような妙な安心感を覚えます。
かつて、生活の一部として家庭で使われ、家のなかの定位置に置かれていたからかもしれません。
空間に影響を与えたり、逆に場を利用して空間そのものを作品に取り込んだり、
そこがインスタレーションのおもしろさだと思います。
アートと海外に触れる機会をこの場所で
神山アーティスト・イン・レジデンスの特徴は、作品制作もさることながら、
アーティストの滞在に重きを置いているという点です。
アーティストが地元の方や自然と交流することによって形作られる、
物ではない無形の作品を築くことを重要視しています。
事務局、生活のサポートや作品制作を手伝う地元の方々、鑑賞者、といったように、
アートとのかかわり方は多岐にわたります。
アートとは、作家および作品と、それを取り巻く人や社会との繋がりを含めて、
我々のいう「アート」になるのだと私は考えます。
神山ではアートが生まれる前、そして生まれて育ち、完成されるまでに立ち会うことができます。
そんな機会が、多くの人の身近な場所にあったらいいなと思います。
また、神山アーティスト・イン・レジデンスで神山に滞在するアーティストは、
期間中に必ず1度、町内の学校で課外授業を行うことになっています。
神山の子どもたちは、毎年世界から来るアーティストに出会い、生の現代芸術に触れることができます。
都会に行かなくても、美術館に行かなくても、自分の町にアーティストが集まって作品を作っている。
この環境は直接将来の夢や目標に繋がらなかったとしても、きっと人生を豊かにする経験の一部になると信じています。
今回のように、アーティスト・イン・レジデンスの期間中のみ鑑賞可能な作品もありますが、ほかにも大粟山に点在するランドアート、町施設に常設されている作品など、まだまだ多数のアートに触れる機会があります。
神山を訪れた際は、ハイキング、ビストロ、サテライトオフィスツアー、そして、アート巡りもお忘れなく。
神山で現代アートに触れよう!

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