神山塾から受け取った「綺麗な布」 | KATALOG
神山塾から受け取った「綺麗な布」

神山塾から受け取った「綺麗な布」

ゲスト
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2017.01.12

はじめまして、神山塾KATALOGコース1期生の佐野弘明と申します。

出身は徳島県石井町です。神山町の隣の町です。
実家が農家を営んでおり、塾がない日はお手伝いしています。
家業を受け継ぎたいという想いを持ち、日々奮闘中です。

他の塾生からはよく、「陽気な性格だね」と言われていました(笑)。
塾生と一緒のときは、陽気な自分をさらけ出し、馬鹿なことを言っている自分がいます。
そんな自分がいるのも、神山塾の時間、仲間といる時間を楽しみたいと思う自分がいるからだと思います。
それを受け入れてくれる塾生たちがいることに日々感謝しながら、神山塾での時間を過ごしていました。

 

神山塾に入る前の私は?

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塾生それぞれの桜の木を記念植樹したときの様子。

神山塾に来るきっかけになった出来事は、2013年の12月にありました。
東京で「四国若者1000人会議」というイベントに参加したことです。
「四国若者1000人会議」とは、四国の若者が1000人集まれば何かできるのではないかと考え、
四国で活躍している人々が集まり、四国のことを考えるイベントです。

参加した理由は、就職活動前に、自分の地元である四国はどんな場所なのか、
地域で活動している人々はどんな人々なのかを知りたいと思ったからです。

そのイベントで四国や地域の現状、四国で活動している人々の想いを知ることになりました。
その場にリレイションの社員がいて、神山塾のことを知りました。

その後、僕は地元の企業に就職。
しかし、勤めているうちに、なかなかうまく仕事ができず、体調を崩してしまいました。

休職している間に、過去の自分とこれからの自分のことをあらためて考え、
地域のことを学びたい、農業のことを学びたいなど、いろいろな想いが出てきました。
そして、「四国若者1000人会議」に参加した時に感じた想いや
地域に関わることについて思い出していたころに、神山塾の募集を発見。
家業を受け継ぎたいという想いはありましたが、その前にまず地域に関わることとはどういうことなのかを
あらためて知りたい、体験してみたいと思い、神山塾に入りました。

 

神山塾での体験とは?

イベント前、自分たちのチームで提供する鍋をみんなで試食。
イベント前、自分たちのチームで提供する鍋をみんなで試食。

神山塾の活動は、イベント作り、ゲストハウス山姥周辺のマップ作り、
山姥のDIYやアドプト活動(神山町内のゴミ拾い・清掃活動)、
阿川小学校の運動会など地域イベントへの参加、
リレイションのスタッフやゲストスピーカーの方による講義など、
地域に関わることを中心に多岐に渡ります。

リレイション代表の祁答院さんの講義で印象に残っているのは、
「体験したことを自分の中で理論化させ、経験や知恵へと変える考え方(経験学習)」についてです。
何かを体験をしたら、振り返りを行い、改善点や学びを自分で分析します。
それを次の機会にも活かす、ということを繰り返すのが経験学習のサイクルです。

例えば、僕は薪割りのコツを地域の方から教わったとき、同時に冬の暮らし方のことや、
木材の調達方法を聞き、暮らしの知恵を受け継いでいくということの面白さや大切さに気づきました。

薪割りの体験から感じたのは、「自分がしたことが、誰かのためになっている」ということ。
自分が薪割りをしたことによって、割った薪を使ってくれる人がいて、
その人の暖のためになっているということです。

この気づきから、自分がすることの一つ一つが、その後どういう流れになるのか、
誰かのためになっているのか、と考えるようになりました。
そして、薪割りだけでなく、
これからいろいろな人に出会うなかで、
その人の暮らし方にある一つ一つを感じ、そこから何かを学んだり、
感じたりすることができる人になりたいと思うようになりました。

イベント作りでは、地域の人と出会い、神山町のことを知りながら、
企画の作り方を学びました。

僕にとって、初めてイベント作りに取り組んだのが、
高知県大川村で行った「流しそうめん祭り~こじゃんとうまい夏と、待ちゅーぜよ!」

この大川村のイベントで印象に残っていることは、大川村の川上文人さんや地域の人と協力して、
約50メートルほどの流しそうめん台を作ったことです。
文人さんと流しそうめんのレーンの竹の連結の方法や、
そうめんの流し方を話し合いながら作ったことを今でも思い出します。
なかなかうまくレーンの設置ができず、文人さんに怒られながらも試行錯誤し、
「佐野さん頑張りましょう」という言葉に応えようと必死になっていた自分がいました。
今でも大川村のイベントや文人さんの言葉を思い出しながら、
「ああすれば良かったかな」と思いに更けることがあります。

次に印象に残っているのは、神山塾生とものさす塾生合同で開催したイベント「あるでないで山姥」です。
僕は神山の食をテーマにした「ODORIBA」チームで、昼食の提供をしました。

ODORIBAチームでは、食材を探すために、神山町の人々と出会い、食の話をしました。
地元の生産者の方から、たくさんの知恵を渡していただいたことに、本当に感謝しています。
チームで作る料理を、当日お客様がどのように感じるのかを楽しみに料理の試作をしていました。

また、同時にイベント運営チームのリーダーも務めました。
イベント運営チームとは、イベント全体での問題点の解消に取り組むチームです。
具体的には、総合受付の設置や会場マップ作り、イベント案内人の配置、駐車場の確保、備品の借用などです。

そのなかで特に苦戦したことは、各チームの問題点などを共有し、横の連携を作ること。
しかし、問題を一つ一つ解決していくうちに、イベントを形作っている実感が湧いてきました。
なんといっても、イベント当日にお客様から「またやってほしい」とのお声を頂いたときには、嬉しくてたまりませんでした。
お客様に感謝です。

神山の暮らしを滞在し、体験することで見えてくるものは、たくさんあります。
僕は「自分の足元に転がっていて、実は自分のなかで大切だったもの」が神山の活動で見えてきました。
神山の地域で暮らしている人々の姿は、祖父や祖母の姿と重なりました。
先祖の土地を守り、農業を営む暮らし方は、町の食を支え、その息子、孫の暮らしを支えている。
その暮らし方や営みを受け継ぐことは、僕にとって大切であると感じました。

 

大切にしている考え方の変化

神山の特産品のひとつである柚子の木から見た神山の景色。
神山の特産品のひとつである柚子の木から見た神山の景色。

大学時代のゼミ活動の最後の振り返りでリーダーがメンバーに伝えてくれた言葉で、
今までずっと記憶に残っているものがあります。

それは、「綺麗な布」という言葉です。

それぞれの想いを持った人を「針」、その人たちのつながりを「糸」にたとえ、
みんなの想いがつながることで、一枚の綺麗な布ができるという意味です。

その言葉を思い出し、神山塾と重ねてみました。

「針」はそれぞれ想いをもった僕たち塾生で、「糸」はこの神山の地域の人や自然です。
それらを紡いでいくと「神山塾」という一枚の綺麗な布になります。

神山塾の期間を経てわかったことは、針や糸には特性があるということです。
針は個性的であり、大小や太さ細さも違いがあることを、
さまざまな個性を持つ塾生とかかわることで知ることができました。

塾生たちの持っているさまざまな思いや悩みが、神山の人や自然を通して交わり、
このときにしかできない一枚の「綺麗な布」になっていたのではないかと思います。

その布を知らず知らずのうちに僕たちが受け取っていた。

神山塾の日々は感動と発見の日々です。
自分のそれまでの考え方が変わったり、考え方の見え方が変わったり、
自分を変えてくれる瞬間がこんなにもあるのかという驚きがたくさんありました。

 

卒塾。次の場所へ

卒塾式のあと、山姥の前で、オーナーの中山さんご夫妻と一緒に集合写真。
卒塾式のあと、山姥の前で、オーナーの中山さんご夫妻と一緒に集合写真。

半年間活動を続け、最後の卒塾式。
かかわってきた周りの人たちに、感謝の言葉を送り続けた1日でした。
恥ずかしながら、ボロボロと涙があふれました。
過ごしてきた日々が、濃かったからだと思います。
そんな日々を過ごせたのも、リレイションの皆さま、神山町という場所、
地域の人々との出会いがあったからこそです。

受け取ったものが多く、卒塾後の日々で振り返っています。
濃く、多かったからこそ、次の場所で活かしたい。
塾生それぞれ、どこかの場所で、この期間を思い出し、進んでいくのだろうと思います。
僕も次の場所へ。神山町を故郷として。

 

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